イントロダクション
1964年制作の『MU』を皮切りに、実験映画ひとすじ60年!
奧山順市は日本を代表する実験映画作家の一人であり、フィルムや映画の構造そのものをテーマとしてこれまで60本以上の作品を制作している。その作品群はシングル・チャンネルにとどまらず、パフォーマンスやインスタレーション作品としても展開。ユーモアを交えたオリジナリティ溢れる構造映画の数々は海外にもファンが多く、これまでロッテルダム国際映画祭やテート・モダンなどで個展が開催されている。
今回はイメージフォーラム・フェスティバル2023での特集に続き、主要作の上映と奧山順市が近年手掛ける「映画発掘計画」の成果を披露するレクチャーも交えた特集プログラムとなる。
※3月31日(日)13:00からのCプログラムでは奧山順市によるティーチ・インあり。
奧山順市
奥山順市インタビュー〜フィルムという不思議な物質への慈しみ〜(1998)【西嶋憲生ブログ「実験映像アルシーヴ」】
上映プログラム
Aプログラム「映画解体計画」 70分
最初期の作品『MU』と『BANG VOYAGE』の他、奧山が作風を確立した「映画解体計画」の作品を上映。写真ネガを上映してしまう『Frameless35』、フィルムが切れるという上映中の事故をライブとして作品化した『切断』(収録版で上映)、映写機の熱でフィルムを溶かしながら上映する『No Perforations』(収録版で上映)など、フィルム上映のタブーやアクシデントを作品化し、奧山順市の存在を世に知らしめた作品群だ。
MU 16ミリ(収録版)/3分/1964
BANG VOYAGE 16ミリ/18分/1967
Frameless35 35ミリ(16ミリ版)/3分/1968
切断(収録版) 16ミリ/15分/1969
Outrage(手ごめ) 16ミリ/3分/1970
No Perforations(収録版) 16ミリ/10分/1971
Frameless16 16ミリ/3分/1971
紙映画(収録版) 16ミリ/15分/1972
Bプログラム「映画組成計画1」 65分
「映画解体計画」の後やってきたスランプの後に完成させ、「映画組成計画」のスタートであるとともに、奧山の代表作となった『Le cinéma(映画)』、映像がダイレクトに音を発する『我が映画旋律』、経年変化でゆがんでしまったコアからイメージを膨らませ、異色のフィルム愛を表現した『映画する人』、カメラを使わずに現像処理のみで制作された『浸透画』などの代表作を上映。
Le cinéma(映画) 16ミリ/5分/1975
我が映画旋律 35ミリ(16ミリ版)/7分/1980
MOVIE WATCHING 16ミリ/12分/1982
写真を刻む 16ミリ/6分/1983
映画する人 16ミリ/10分/1986〜87
タイムスリット 16ミリ/6分/1989
浸透画 16ミリ/9分/1994
ストップ・モーション 16ミリ/10分/1995
Cプログラム「映画組成計画2」 61分
ループさせたフィルムを超多重露光する『時の流れに乗せて』、フィルムにおける映像と音の構造的なズレをテーマにした『Sync pic あっ!画を見てから音が聴こえる』、ダブル・エイトのフィルムを2本編集して16ミリへと回帰させる『W8は16ミリ』、現像液をフィルムに直接ペイントした『まぜるな』など、映画の構造への探求はさらに広がりを見せる。
INGAの世界 16ミリ/11分/1996
時の流れに乗せて 16ミリ/7分/1997
サンドイッチ 16ミリ/6分/1998
Sync pic あっ!画を見てから音が聴こえる 16ミリ/14分/2001
W8は16ミリ 16ミリ/11分/2006
まぜるな 16ミリ/5分/2008
フィルム三昧 ビデオ/7分/1992
Dプログラム「奧山順市レクチャー」 80分
奧山順市、初期映画を語る ―
<スタートは、お一人様映画から始まった>
<Peep show / 覗き活動写真は、今風に言えば“ソロ・シネマ”>
「キネトスコープ」から始まり「ミュートスコープ」「キノーラ」へと展開する。映画館とは違う、別の映画史だ。遊戯場、家庭が舞台となっており、語られることはなかった。
80分(予定、講演+映像)
※山手線 外回り編(1970/2024)の展示&デモンストレーションもあり。