国内外の映像アート作品の上映、レクチャーを定期開催。古典的名作 から、最新の実験映画まで

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ログラムA-仕掛けの技法
一方はプロの役者の巧妙な演技による見事なまでのアメリカ人のステレオタイプを表出。他方は作者の家族や友人による"演出されたパニック"が特殊な画像処理でグロテスクにデフォルメされた戯-実録を物語る。
ミート・ザ・ピープル●14人の男女がそれぞれの仕事、人生、恋愛、幸福などについてインタビューに答える。そこからはきわめてアメリカ的な成功を信じる生き方が浮き彫りにされる。しかし一見単純なインタヴューと思えるこのテープは、次第にそれが典型的にメディア的な「アメリカの市民」のイメージであり、語られる言葉が(生き生きしているにも関わらず)ステレオタイプであると気づかせる。エンディングのクレジットでこの市民達がすべてプロの役者によって演じられたと明かされ、ドキュメンタリーとフィクション、真実と作為、現実とメディアの作ったイメージの間の境界は一段と曖昧になっていく。
でかいメガネ● IFF2000カタログ 坪田義史インタヴュー(2000年3月14日)より
---全体の構成のイメージを聞かせて下さい。
坪田義文(以下、TY) なにかこう、となりの家のケンカを覗いているようなドキドキするような感じにしたかったんです。その家は近所で噂になったりする下世話な感じで・・・
---見ている人にパニックを期待しますか?
TY そうですね。目の前に突然パニックが起こる感じになればいいなあと思います。冗談にならない冗談みたいなものが大好きで。だから撮影前にも役者を煽ったり。それで、感情が高まってきたところでカメラを回しています。手伝ってくれているスタッフも、編集して音が入った時点まで自分が何をしているのか分からないままだったりします。かつての"ドッキリカメラ"みたいに。
---何かを仕掛けるということが好きなようですね。
TY もう本当に小さいころから好きで。人がだまされている時に顕れる本質を見るのが好きなんです。本当ヤな奴ですよね。

ログラムB- 仕込みの技法
かたや2人の男性間にエロティックに介入する暴力装置としてカメラが機能し、かたやクリティックの立場でメディアの虚飾を問うべく普段表にでないカメラの視線を"傍受"し"編集"する。
[cameRa]●映像は事象の表皮のみを剥ぎ取り、縫い合わせ、意味を人造する。私にはこれらが映像に宿命的に癒着した、根深い原罪と感じられてならなかった。仮にこの原罪を、過程の再現の中で把捉するのであれば、その最初段階にある素材には秘密裏に奪取されたものを採用するべきだと考えた。かくして表皮の剥離・切除器具としてのカメラは隠匿され、よりその罪性を強められてある。およそ付き纏う不快さはこの残照であろう。また、必然、形式にはシナリオのある記録映画、所謂フェイク・ドキュメンタリーが採択されたが、捏造によって現実レベルを調整するかのような、この手法の製作過程を通路としながら、現代においてはもはや、現実と虚構が、‘二項対立とその綯交ぜ’ではなく、‘虚構そのものの内部に、現実が多層化して存在する’ことを再認識させられたように思える。(徳永富彦)
SPIN●『SPIN』は大統領候補者の本番前の素顔を捉えている。スプリンガーは自宅に2つのパラボラ・アンテナを備えたスタジオを設置し、普段家庭には流されないテレビ局間交信用の映像を受信、これを編集し、一つの作品を作りだした。あのクリントンが何かを喉につまらせ、ハンカチを当て咳き込んでいたり、ジェリー・ブラウンが鼻スプレーを使っているショットもある。スプリンガーは1992年のほとんどをテレビの前で過ごし、フィードと呼ばれる衛星放送(未編集、生のフッテージ)を600時間録画。他のすべてのメディアがいかに作られたイメージで支配されているかを露にした。テレビ報道の研究者が今まで語ろうとしなかった分野に踏み込んでいるのだ。「この実験でメディアが持っている公共への軽蔑という性質を暴き出したかった。」結果、メディアにおける政治の洗練された分析であると同時に、底抜けに面白いものができあがった。
(アニア・チザトロ)

SPIN
[cameRa]
3:00
5:00
7:00
4/7
A
B
A
4/14
B
A
B
受付(各回入替制)
当日900円/会員600円
2回券1500円

<上映作品>
プログラムA
ミート・ザ・ピープル
シェリー・シルバー/ビデオ/17分/1986
でかいメガネ
坪田義史/8ミリ/72分/2000

プログラムB
[cameRa]
徳永富彦/ビデオ/33分/2001
SPIN
ブライアン・スプリンガー/ビデオ/55分/1995

<作者紹介>
シェリー・シルバー●1957年生まれ。79年より映画・ビデオによる創作を開始。既存のジャンル、有名人や紋切り型の映像を解体、再構築することでアイデンティティー・セクシャリティ・知覚・物語性にまつわる一般概念を問いただしている。

坪田義史●1975年生まれ。01年多摩美術大学卒業。本作品はIFF2000一般公募部門大賞。

徳永富彦●1974年生まれ。98年早稲田大学卒業。[cameRa]が初作品。IFF2001一般公募部門入選。

ブライアン・スプリンガー●ニューヨーク州バッファロー在住のインディペンデント・メディアメーカー。ニューヨーカー誌には 「 監視こそ彼のお気に入りのテーマである」と謳われている。放送されることのなかったフッテージを集めた75分の作品『FEED』の仕掛け人。
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