国内外の映像アート作品の上映、レクチャーを定期開催。古典的名作 から、最新の実験映画まで

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夜明け <リ・サンプリングサウンド版>
 坪田義史の『でかいメガネ』がイメージフォーラム・フェスティバルでグランプリを受賞してもうすぐ3年が経つ。美大の学生だった彼は現在某TV局のディレクターをしている。受賞後のインタビューでは、切羽詰まった状況において仕掛けられた”冗談にならない冗談”みたいなものが好きで、”突然パニックが起こる感じ”をめざして演出をしている、と語っていた。それはある程度彼自身が持っている雰囲気でもあった。昨年発表された新作でもその独特の切迫感がキャラクターに反映されていた。ユルいのだけれど粘着した感じ。そしてキレないように注意しているようにも達観しているようにも見える立ち居振る舞い。作者はそれを「達しない感」と呼ぶ。彼は現代の若い人達のフィーリングを活写することを目指しているのではないだろう。ここで楽しむべきなのは東京のなかでも特別にグロテスクで美しいロケーションで展開される「達しない」サウンドのカット&ペーストであり、繰り返しとはぐらかしの妙だと思う。今回シネマテークで上映するにあたり、作者は音源を特殊な方法でサンプリングている。現実に存在しているFMのラジオ局を介して音源を募集し、不特定多数のサウンドを映画にのせてしまうというもの。見事に肥大したボーナストラックをお楽しみに。(澤隆志)

夜明けについて
偽りの車椅子姿で人前に現れる女、
日暮マチコ。
彼女の達しない、達する事のない日々。
その彼女が参加する胡散臭い前衛音楽集団「45%」。
彼等にある映像作家から映画のサウンドトラックの依頼が来る。
作家の注文は一つ。
それは「夜明けの音」。
「45%」のリーダー格、森田は執拗にライブ感と純度の高さにこだわり音への妥協を許さない。
戸惑いをみせる他のメンバー達もそれぞれのやり方で自分達の内面に潜む夜明けの音のイメージを模索する。
合宿時、リーダー格森田を満足させる音を提出できないメンバー達へのいらだちの吐け口として寡黙な日暮はそのターゲットとされる。
「ちなみに。今は。夜です...。」と言う日暮。
これは彼女の日常に映った音探しのぼやけた風景。
「45%」の模索する不完全な音源や言葉も、そのまま同時にこの映画のサウンドトラックとなり物語と共に展開していく。
今回の上映は、よりシンクロ性を重視して、音楽/音響/役者(森田役)で参加している solaris audio モリケンがDJを務める
現在放送中のラジオ番組「ソラリスアワー」(FM伊東)で映画「夜明け」とリンクする形でリスナーに募集して集まった新たな音源「夜明けの音」をラジオ番組収録現場映像と共に加え編集した、2003年バージョンです。(坪田義史)

坪田義史●1975年生まれ。多摩美術大学卒業。作品歴:『爪花火』(95)『妖怪後頭部』(96)『耳プール』(97)『ホームビデオ』(97)『ラジオライフ』(98)『ラジオライフ-夜空ノムコウ-』(99)『でかいメガネ』(00、IFF一般公募部門大賞)
夜明け
受付
当日900円/会員600円

夜明け <リ・サンプリングサウンド版>
坪田義史/ビデオ/カラー/110分/2003
[イメージフォーラム・フェスティバル2000年度制作助成作品]
撮影、照明:引地信彦
音楽:モリケン(solris audio)
録音:功刀康久
制作:雉雅威
出演:板倉奈津子、青柳龍太、モリケン、西原大樹、業林イクエ
協力:明仁絵里子、塩田哲也

 

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