国内外の映像アート作品の上映、レクチャーを定期開催。古典的名作 から、最新の実験映画まで

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2005/9/4,11
point of view
大月奈都子(『さようなら映画』でPFFグランプリ受賞)や原神玲(テクノミュージック界の気鋭)といった作家を排出してきた京都芸術短期大学の映像コースが、2000年に京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科となり今年で2期生を送りだすことになった。短大の頃は松本俊夫を中心とする実験映像が教育理念の核であったが、それだけに止まらず劇映画(林海象)、ドキュメンタリー(佐藤真)、アニメーション(増田龍治)、メディアアート(河原崎貴光・前林明次)といったジャンルまで拡大し、学生はそれらを横断しながら映像の幅と深みを知っていくようになった。また学生は積極的に舞台芸術コースの授業も履修し、役者として舞台に立つことも頻繁である。そんなごちゃまぜの渦の中である者は自分を見失うが、ある者はその多様性を柔らかく吸収し、追求を深め、自分ならではの作品を作っていくようになる。
今回は2004年度の卒業制作作品からの選抜集。劇映画『Neko-Tanta』は若い世代の群集劇。無気力と激情の間を行ったり来たりするそれぞれの人物がクライマックスへ向けて素晴しいハーモニーを奏でていく傑作で、佐藤真も驚いた作品。『迷と惑』は実にユニークなホームレスのおじさんの生活を2年間追い続けた渾身のドキュメンタリー。『人情回路』は映画の文脈を意識的に解体させようと試みた実験映画。例年アニメーションを志す学生は数多く、他の4作はすべてアニメーションである。『空想家』は時空間の視覚化が小意気な作品で、『ルフラン』は映画的記憶を呼び起こす不思議な魅力を持った作品。『愛の部屋』は中年男の悲哀を残酷かつコミカルに描いショートショート。そして『FRANK』は既成のコミックをパペットアニメで“映画”に変貌させた作品である。
人生や創作と悪戦苦闘してきた4年間の集大成として生まれてきた作品群。共に過ごしてきた彼らに対して私たちはもはや冷静な判断が下せない。この上映会での完全なる他者による批評こそが今最も必要なのだ。(伊藤高志

作品コメント
人情回路●何もかも涸れはて、全てが破壊された絶望的な風景の中に、ふうっとやわらかい風が吹いてくるような情景を表現したかった。(松本健一 )
空想家●家の前の木には鳥がよくやってまいります。(野上寿綿実)
ルフラン●映画でしか見たことのない、平野の風景の、なににも遮られない地平線に興味をひかれ、思い出すように、それを描き写した。道路を敷き、看板を並べて。(祢津悠紀)
Neko-Tanta●人、変化するもの変化しないもの、ねこ、コンビニ、そら、部屋、剥きかけのりんご、自転車、町、つめ、一日、ただ、どうしようもなく拙い音楽が延々と流れているような、流れていないような、いとおしい場所。(村上誠)
FRANK●アメリカの作家ジム・ウ−ドリングのコミック、「FRANK」をアニメーション化。ペンで描かれたタッチを保ったまま立体セットで再現する試み。空気感を求めました。(川口華奈子)
愛の部屋●100個の四コマを元にした10編のアニメーション。恋人の死体を溺愛する男、歯車を転がし続ける社会の歯車と化した人々、突如寝室に現れた11人の男…。人間の存在の悲しさや不可解さを描いています。(寺田めぐみ)
迷と惑●コメント「ドキュメンタリー映画。京都・三条商店街、神戸・三宮駅周辺にて自らの宗教を布教して歩く元会社員のホームレス。毎日街に出て一人一人に声をかける。街は彼を受け入れるのだろうか、それとも拒絶するのか。街を移動する人々の大きな流れを彼の目はじっと見つめている。(村川拓也)
人情回路
Neko-Tanta
愛の部屋
受付
一般900円/会員600円

上映作品
●Aプログラム
人情回路 松本健一/ビデオ/19分/2004
空想家 野上寿綿実/ビデオ/3分/2004
ルフラン 祢津悠紀/ビデオ/5分/2004
Neko-Tanta 村上誠/ビデオ/65分/2004

●Bプログラム
FRANK 川口華奈子/ビデオ/14分/2004
愛の部屋 寺田めぐみ/ビデオ/11分/2004
迷と惑 村川拓也/ビデオ/75分/2004

 

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