アブラハム ・ラヴェット作品集
今回上映する4本は、過去20年間私が取り組んできたテーマや映画的戦略を横断する作品群である。『水子』はミニDVで撮影した映像に加え、1950年代にコダックの8mmカメラで撮られた映像を含んでいるが、それ以外の3作は全編16mmフィルムで撮影し、編集した。
『馬/河童/家』は柳田國男による地方の民話集「遠野物語」に影響を受けて作ったものだ。それらの民話は私自身の中の、先祖から伝わった東欧的な部分と深く共鳴し、この世界に住む超自然的なものや霊魂を信じるように育てられた幼少期のことを思い出させた。この作品は、日本の映像作家石田純章氏との密なコラボレーションと、彼のアニメーションなくしてはありえなかった。私は彼の作品『Tokio House』に深く感動し、私自身の映画の中に、彼の構築するものをみたいと思った。
私はこれまでに、ホロコーストを生き延びた私の両親の体験と、彼らと私との関係を反映させた作品を7本作っている。『行進』はそのうちの一本だ。この中で使われている母親のモノローグの場面の大半は過去の作品のアウトテイクである。この作品は1998年8月に母が他界した直後に制作した。
『水子』と『そして、その時』はともに過ぎゆく時間に思いを馳せた作品だ。私の子供たちが成長し、大人になるのを見ながら、自分にとって「現在」にとどまり続けること、そして一瞬一瞬を楽しむことがいかに大切かをこの2つの作品が思い出させてくれる。(アブラハム・ラヴェット)
アブラハム・ラヴェット●
1947ポーランド生まれ。彼は映画制作と写真の両分野で修士号・博士号を持ち、過去28年間自主映画作家として活動。これまでの作品に関して、アメリカ国立芸術基金(NEA)、国際交流基金(JPF)、(財)放送文化基金(HBF)、LEF財団、1994年にはグッゲンハイム奨学金などから推薦・奨励金を取得。その作品はニューヨーク近代美術館、アンソロジー・フィルム・アーカイブ、パシフィック・フィルム・アーカイブ、サンフランシスコ・シネマテーク、スクラッチ・プロジェクション(パリ)、イメージフォーラム(東京)など世界各国で上映されている。近年ではビエンナーレ2000(オーストリア)、2001年・アン・アーバー映画祭(ミシガン)、2003年・オニオンシティ映画祭(シカゴ)などで大賞を受賞。
1999年には舞踏家・振付師のビル・T・ジョーンズのソロ・パフォーマンス『The Breathing Show』を共同制作。現在はマサチューセッツ州のハンプシャー・カレッジで教鞭を取る。