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作家研究連続講座vol.5ー清水好美「尾話像」
2009/7/24, 25, 26

イメージフォーラム映像研究所第24期卒業、国内外の個展で活発に新作を発表する清水好美。イメージフォーラム・フェスティバル上映作品を含む主要な全作品による初個展。作品上映にあわせて、独特のモノローグ/ダイアローグ世界を堪能するテクストリーディングを行う。

※ ゲストトーク決定しました。
7月24日 19:00の回上映終了後 対談:小池昌代(詩人・小説家)×清水好美 チケット半券で参加できます。

  • HITORIASOBI

    HITORIASOBI
  • マドロ

    マドロ
  • 犬の棺

    犬の棺
  • Era Era

    Era Era
  • POTOLITAM

    POTOLITAM
  • シヒナ

    シヒナ
  • TAYUTA

    TAYUTA

    受付

  • 当日700円/会員500円

タイムテーブル

日付 3:00 7:00
7/24 -
7/25 -
7/26

    捕獲された画と声

     イメージフォーラム映像研究所を卒業後、多くのアニメーション作品を制作している清水好美の初個展。精緻なドローイング・アニメーションと共に特徴的なのは、夢や断片的なイメージが元になったダイアローグ/モノローグである。唐突に始まる独白、誰に宛てるともない便り、不気味なスローガン。これらは意識下から染み出してきたような声であり「お話」の断片、夢の全体からみたらしっぽのような小さな存在だ。
     8ミリで撮影された風景や女の肉体、鳥(らしきもの)、繰り返し出現する自画像とおぼしき女の頭部、口、抜け落ちる歯、ゴワゴワとのたうち回る大量の髪の毛のアニメーションに、これら声の断片が重なるとき、異質な要素のぶつかり合いから奇妙なイメージを思わず連想してしまう。鳥の絵が多いのはマックス・エルンストの影響か。シュルレアリストが遊び半分で実験したような、断片の強引なキメラをフレームの外に見てしまう。
     それは、そのつながりの唐突さ、不気味さ故に、手渡されたコラージュの続きをついつい引き受けてしまうことだ。清水好美の映画を見ることは、果てしなく続く妄想のコラージュの片棒を担ぐことなのかもしれない。
    (澤隆志)

    絵コンテと字コンテを鳥籠から放つ

    意識しているわけではありませんが、私の作品には
    「鳥」と「逆さまになった下半身」がよく出てきます。
    何を意味しているのか。私自身よくわかりません。
    それどころか、映画に出てくるモチーフの全て、物語、ことば…それらの意味を作者が知りません。
    私は頭に浮かぶ画、感触、妄想のかけらをノートにかき溜めては
    それらをパズルのように組み合わせて作品をつくります。
    結果、とてもいびつで不安定なよくわからないものになる。
    そこから自分自身を読み解くことすらできません。
    一方、テーマが無い、中身が無いと言われるのが怖い。
    順序が逆ですが、最後に作品の骨とすべく
    物語のようなものを突き刺そうと努力します。

    無責任かもしれませんが、私は
    作品としてできあがったこのいびつなものを
    誰かに読み解いてほしいと願っているのかもしれません。
    (清水好美)

    <上映作品>

    HITORIASOBI/8ミリ/6分/2001
    マドロ/8ミリ/10分/2001
    犬の棺/8ミリ/17分/2002
    Era Era/ビデオ/4分/2003
    POTOLITAM/ビデオ/3分/2004
    シヒナ/ビデオ/3分/2006
    TAYUTA /ビデオ/4分/2007-2009

    ※字コンテリーディング 朗読:清水好美
    ピクニック
    チョウを食べる
    アンナ
    ごちそうさま

    以上全て清水好美作品


    清水好美

  • 1977年 茅ヶ崎生まれ。女子美術大学卒(日本画専攻)、イメージフォーラム付属映像研究所 24期本科・専科卒業。
    働きながら、8ミリフィルムやビデオによる映像制作をほそぼそ続けています。青空飢饉という自主上映団体で主に活動。 http://www.pictstudio.com/inu/