告白というエンターテインメント 村上賢司 映像個展
村上賢司は今年で作家生活20周年を迎える。日記映画、実験映画、個人映画、セルフ・ドキュメンタリー等、今日では個人の目線で思いの丈を発露する作品は様々な呼ばれかたをしているが、これらは何よりも告白の映画だと思う。そういう意味で村上は20年間告白をし続けていて、「己の人生の珍プレー、好プレー」を映画たらしめている。彼にとって告白は手段であり目的である。
高崎で生まれた少年は、片思いをして、いつでもどこでも鬱屈し、自分を撮った。やがてホラー映画を監督し、映画愛にあふれた可笑しくも悲しい作家達を観察し、ドキュメンタリーで嘘をつき、長編劇映画を撮り終えて、今も片思いを続けている。8ミリフィルムとデジタルビデオ、サブカルチャーとアート、虚構と現実の区別はここでは何ら意味をもたない。思い出すのも恥ずかしい、こんな莫迦なこと「しなくてよかった」「してみたかった」という切ない共感を最大限提供する7つのプログラム。告白アーティストから片時も目が離せない。(澤隆志)
※2月15日には村上監督と森達也氏によるトークも決定しました。
観音菩薩 -母光-
この作品は自分を語ることによって成立しているが、その語り口に独特なところがあって、少年のような一途さが心を打つ。語りの現在進行形を構造として使っているのが面白い。(鈴木志郎康/詩人、映像作家)
水心
作者が今でなければ絶対に描けないくらいかけがえのない作品です。撮り進めていくうちに自分を制御出来なくなる素直さがある。(岡崎京子/漫画家)
夏に生れる
いやー面白かった。しょうがないな、と観ていくうちに監督の術中にハマってしまいました。(鴻上尚史/演出家)
村上賢司(映画監督・テレビディレクター)
1970年高崎市生まれ。1995年『原色バイバイ』がイメージフォーラム・フェスティバルで入賞。1999年『夏に生まれる』が同映画祭で審査員特別賞を受賞。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリ、バンクーバー国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭などで招待上映された。『呪霊2』『怪奇大家族』などのホラー作品や、メディア・リテラシー番組『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』の監督をしながら自主制作作品を精力的に発表している。最新作は『ALLDAYS 二丁目の朝日』。
村上賢司ブログ>> How I’m Surviving in Kawaguchi City
プログラム
Aプロプラム
ななおく 1988/8ミリ/10分
観音菩薩・母光 1992/8ミリ/47分
Bプログラム
水心 1994/8ミリ/55分
Cプログラム
原色バイバイ 1995/8ミリ/84分
Dプログラム
月の裏側を走る 1995/8ミリ/35分
俺に冷たい星 1999/8ミリ/24分
Eプログラム
夏に生れる 1998/ビデオ/76分
Fプログラム
地獄便り 2004/ビデオ/15分
集団自殺刑事 2004/ビデオ/15分
川口で生きろよ! 2003/ビデオ/30分
Gプログラム
拝啓・扇千景様 2006/8ミリ/20分
俺の流刑地(略称・俺ルケ) 2007/ビデオ/35分
フジカシングルデート 2007/ビデオ/29分
トーク+特別上映
2月15日 19:30〜
村上賢司+森達也(映画監督/ドキュメンタリー作家)
特別上映:著名ドキュメンタリストによる、ドキュメンタリーの虚実をえぐるメディア・リテラシー作品