作品案内

ニュートリノ 素粒子の中の詩人

上映日程: 7月3日

『ニュートリノ 素粒子の中の詩人』は、「素粒子」、「八百万の神々」、「栗拾い」、「ピクセル」、「豆腐作りの芸術」と一見何の脈絡もないものの相互関係を捉えた、詩的で哲学的なドキュメンタリーである。この映画では、色彩豊かな科学者や村人たちとの出会いの中で「ニュートリノ」と呼ばれるとらえどころのない素粒子が、最先端の科学研究と伝統的な村の生活、目に見えない量子の世界と目に見える現実、そして知ろうとする意志とあえて知ろうとしない魔法のようなギャップを、どのように埋めることができるかを描き出している。

気まぐれな素粒子に魅せられた製作者たちは、日本のとある山の中を1,000メートル以上掘ったところにある世界有数の物理学実験施設、スーパーカミオカンデを通してニュートリノ検出への研究の旅に出る。その山の上の村では、国際的な科学者たちが地元の人々やその精神的指導者たちとともに暮らし、働いている。こうして、一見何の関係もない2つの世界が一つになっていく。かつて鉱山があった村に住む高齢者たちの生活世界と、同じ山の中で科学研究を行う国際的な物理学者たちの研究世界。一方のグループは、山、木々、動物、水、風など、自分たちが暮らす「目に見える自然」に焦点を当てるが、もう一方はニュートリノという「目に見えない自然」にしか目を向けない。ゴースト粒子と呼ばれるニュートリノが宇宙の起源を説明できるのかという疑問があるからだ。

数百平方メートルの池ノ山とその周辺を舞台に、この映画は、とらえどころのないニュートリノと、ニュートリノが自然や宇宙、目に見えない不思議な生命について投げかける疑問について、さまざまな視点を行き来しながら蛇行していく。物語の中で私たちは、世界最先端の研究施設を持つ国際的なニュートリノ研究者たちの科学的なまなざしを知る。また、仏教の僧侶と神道の宮司を通して精神的なまなざしを、彼らの歴史ある寺と神社で学ぶ。さらに「未知なるもの」と真摯に向き合い、「夢の館」を取り囲む日々の生活の中で「未知なるもの」に独自の居場所を与える、さまざまな村人たちや地元の女子高生に出会う。そうして、物理学の知識を求める個人的な発見の旅として始まったものが、普遍的で実存的な探求へと変化していく。

脚本・監督:ハニー・ファン・デン・ベルグ、ヤン・ファン・デン・ベルグ
撮影:クレア・ピジマン、ザンダー・スヌープ
音響:ジェフリー・ジョーサン
編集:カタリーナ・テューラー
音楽:ジャック・パリンクス
2023年/77分/英語・オランダ語・日本語

▶︎2024年7月3日(水)のみ限定上映 19:00より

《当日料金》一般:1,800円/大学・専門学生:1,300円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,300円/会員:1,200円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,200円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)