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No.1001 帰巣譚
<映像作家福間良夫没後10年追悼映像個展>渋谷上映
2018 2/3 Sat
  • チラシ画像

     

  • 帰巣譚(1978)

    帰巣譚(1978)

  • 跋


  • 神風

    神風

  • 続神風

    続神風

  • 新神風

    新神風

  • 弾機

    弾機

  • 眼界境域

    眼界境域

  • 帰巣譚(1988)

    帰巣譚(1988)

  • 若水夜

    若水夜

  • 葉月拾遺

    葉月拾遺

  • プラザホテル

    プラザホテル

  • 415號室

    415號室

  • 針穴と知恵熱

    針穴と知恵熱

  • 福間さんへ。

    福間さんへ。


  • 桜井へ

    桜井へ

  • 櫻井の引越

    櫻井の引越


  • 福間さんの引越

    福間さんの引越

イントロダクション

九州・福岡における1970年代以降の個人映画・実験映画シーンを俯瞰する上で、FMF(フィルム・メーカーズ・フィールド)の存在は欠かす事ができない。今年で40周年を迎えるこの集団は、日本最長級の老舗シネマテークだ。永年FMFを牽引した創立メンバーの映像作家・福間良夫は、誠に残念ながら2007年6月28日に急逝。53歳であった。福間作品の殆どは、静謐かつ緊張感に満ちた独特の質感を伴っている。難解と評される事もあったが、その凛とした作品と繊細かつ豪放な人柄は、多くの人々から慕われた。渋谷上映では、福間の同志でありパートナーの宮田靖子と厳選した福間良夫16作品のプログラムに加え、創立以来FMFに注目し続けその活動をリスペクトした作品『人である。』(かわなかのぶひろ作品)、そのFMF主催によるパーソナルフォーカスに出品された松本俊夫、中島崇による8ミリ作品、さらに福間への「あきらめと再起動の予期せぬ作業になった」という宮田靖子の『月日譚』特別上映という2プログラムをお届けしたい。世紀を跨いだひとりの映像作家の生き様に感応して頂ければ幸いだ。
《櫻井篤史 映像作家/Lumen gallery (京都)》
《芹沢洋一郎 映像作家/東京主催スタッフ》


上映プログラム

Aプログラム 特別上映作品 4作品95分
福岡を拠点にFMFを主宰し、多くの実験映画作家と関わりあった福間良夫の広範な活動を実感するプログラム。
Delay Exposure  松本俊夫/8mm/3分/1984
捜査  中島崇/8mm/3分/1984
月日譚  宮田靖子/8mm/17分/2007-2010
人である。  かわなかのぶひろ/デジタル/70分/2009−2017

Bプログラム 福間良夫8mmフィルム映像個展 17作品76分
現存する福間作品の中から厳選した16作品と、盟友である映像作家櫻井篤史と交わされた映像書簡集によるプログラム。
帰巣譚  3分/1978
  5分/1978
神風  3分/1979
続神風  3分/1980
新神風  4分/1983
弾機  3分/1983
眼界境域  3分/1984
帰巣譚  12分/1988
若水夜  3分/1993
葉月拾遺  3分/1997
プラザホテル  3分/2000
415號室  3分/2001
針穴と知恵熱  3分/2003
<櫻井篤史との映像書簡>
『福間さんへ。』+『桜井へ』+『櫻井の引越』+『福間さんの引越』+『芳一夜話』  15分/1993〜2010

<特別追加作品>
ODESSA  3分/1985
川の底にあるもの  4分/1989
ふくおかぱらだいす  3分/1991

※すべて福間良夫作品(映像書簡は櫻井篤史との共作)、8ミリフィルム


作品解説

Delay Exposure 松本俊夫/8mm/3分/1984
8ミリの自動露出機構が急激な露出変化に同時に対応できない点に着目、そのズレの面白さを生かす映画を作ることにした。(松本俊夫)
2017年4月12日に逝去した松本俊夫さんの51歳にして初めての8ミリ作品。『EEコントロール』(1985)、『BIVRATION』(1986)とパーソナルフォーカスに連続出品された作品は、いずれも8ミリカメラの機構を扱った実験映画で、松本さんの8ミリ作品はこの三作のみ。九州芸工大のキャンパスで、8ミリカメラを振り回しているその姿を想像するたびに、ひしひしと有難い。(宮田靖子)

捜査 中島崇/8mm/3分/1984
対話と沈黙が交互に進行する。言葉の代わりに、奥山順市作品「映画・LE CINEMA」(1975)で使われた音のフレーズを少女Aは口ずさみ、蜘蛛に語りかける。やがて少女Aが沈黙の蜘蛛の死骸に耳をかたむけると、もう一人の少女Bが少女Aの耳を通して何かを聞き取ろうと試みる。「沈黙」の伝言ゲーム。(中島崇)

月日譚 宮田靖子/8mm/17分/2007-2010
月の砂漠を遥々と旅の駱駝は行きました。往きましたものたちは、地上で眠っていた時間を月の裏側で過ごし、次の星へと旅立つと言い伝えられています。交信の手段を取り決めしていなかった私は、満月の夜に一コマずつシャッターを押してみることにしました。訪れを待ちながらコマを進めて行く撮影は、思えば優雅なフィルム作りでした。そしてそれは、諦めと再起動の作業でもありました。音楽は、三人のパーカッショニストによる即興演奏で、「中高年女性の短い休息(North Damen Trance)」と言うタイトルはあまりにも相応しく、月の使者からの贈り物のようでした。(宮田靖子)

人である。 かわなかのぶひろ/デジタル/70分/2009−2017
福間さん、元気ですか〜。あなたが亡くなってからもう10年経つんですね。追悼個展の初日がちょうど10年目という仕掛けの上映会で、あなたと、あなたの仲間の作品をまとめて見る機会が訪れたのは嬉しい限り。おっとり刀で駆けつけたいと考えております・・・。福間さんとパートナーの宮田さんが主宰するFMFは、70年代から一貫して個人をベースとする映像の制作と上映活動をサポートしてきました。リスクの大きい、それゆえに貴重な活動を、アットホームな雰囲気でたんたんとこなすその姿勢は、福岡のみならず、全国の映像作家にとって大きな憧れでした。福間さんが亡くなっていったんは休止したものの、再び始動した宮田さんともども大文字の声援を送りたいと、てぐすねひいてますよ・・・♪(かわなかのぶひろ)

帰巣譚 福間良夫/8mm/3分/1978
跋 福間良夫/8mm/5分/1978
『帰巣譚』と『跋』は、どの上映会で発表されたものか活字としての資料は残っていないが、間違いなく1978年6月18日、イベントハウスなる多目的スペース兼飲み屋での、福間・宮田二人展だと記憶する。当日直前まで作業している有り様ではあったが、福間の場合、タイトルが全く違う作品に成っていることが多々あった。ちなみにその時の出品予定作品タイトルは、『舌の群を濁音がひきずる』と『すべてのたたかいはおわるかもしれない』になっている。『帰巣譚』は当時の事務所にて、『跋』は能古島で撮影されたフィルムを再撮影したものだった。蜜月ではあったものの、吉本隆明に心酔していた24才の若者の、リアルな関係に向き合う愛しさと戸惑いに溢れている。(宮田靖子)

神風 福間良夫/8mm/3分/1979
さぶしい戦いということを思うとき、いまむしろ恋闕というその詩魂へのあざとさへ、私は風を分度する。風は、私は、決意を吹こう。

続神風 福間良夫/8mm/3分/1980
束ね得ぬもの。

新神風 福間良夫/8mm/4分/1983 
いわば光学・レンズ系による銀塩写真システムによって、時間と空間の擬制をとくことはできないのか。風が吹くか。うけひの戦いである。

弾機 福間良夫/8mm/3分/1983
あなたが言う通りだった。耳をすますと、硬い鋼鉄の中心からひいた垂線に、からみついた声が、にじんだ汗がぶどうのようにぶらさがって見えた。

眼界境域 福間良夫/8mm/3分/1984 
写真特性の失調を組織する。

帰巣譚 福間良夫/8mm/12分/1988
会社から家へ帰るという、ごく日常的な倦んだ風景を、ファインダーを通して、自身の視線へ取り戻す試み。手法として、ナラティブな要素をサウンドトラック上に貼りつけてみた。ナラティブな手法は、フィルム上の出来事を、見事に補完するようで実は、物語ることの罠を、無限に増幅させる契機ともなっていった。ホーム・スイート・ホーム、帰巣譚。

若水夜 福間良夫/8mm/3分/1993
ネフスキー翁に捧ぐ。

葉月拾遺 福間良夫/8mm/3分/1997
スプロケット、きのこ、湿板写真、ネガティブな相貌、月下の騎手。

プラザホテル 福間良夫/8mm/3分/2000
リハビリテーション。

415號室 福間良夫/8mm/3分/2001
まだ葬ることができないものがある。憂鬱な少年の日々、その刻印を無かったこととしてしまうことができない。

針穴と知恵熱 福間良夫/8mm/3分/2003
ああ、知恵熱が……。

ODESSA  福間良夫/8mm/3分/1985
ありていに言えば、眼差しのイデオロギー批判なのであろうが、決定したスタイルは、固有のポジションを生む。強度を伝えたい。

ふくおかぱらだいす 福間良夫/8mm/3分/1991
ありふれた光景のなかに、とつぜん光そのものを視ること。

※無記名の作品コメントはすべて福間良夫によるもの


福間良夫 FUKUMA Yoshio

1953年11月17日 福岡生まれ
1977年 FMF(フィルム・メーカーズ・フィールド)設立
1983年 宮田靖子と結婚
2007年6月28日午後8時17分 逝去


    タイムテーブル Schedule

日付 2/3
16:00 A
19:00 B


    会場 Venue

  • イメージフォーラム3F「寺山修司」
    東京都渋谷区渋谷2-10-2
    Image Forum 3F "Terayama Shuji"
    2-10-2, Shibuya, Shibuya-ku

    TEL. 03-5766-0116

    当日受付 Door

  • 一般1000円/会員800円/2回券1500円
  • General 1000 yen, Members 800 yen
    Two programs 1500 yen

  • ※各回入替制
  • ※2回券はお一人様用です
  • ※Bプログラム上映終了後、宮田靖子、かわなかのぶひろ、中島崇によるトークセッションがあります

    関連企画

  • 帰巣譚 <映像作家福間良夫没後10年追悼映像個展>国立上映
    2.4(日)14:00 PERSONAL FOCUS 東京セレクション(Cプロ)
    2.4(日)17:00 福間良夫8mmフィルム映像個展(Bプロ)
      
    会場:木乃久兵衛(キノ・キュッヘ)
    TEL 042-577-5971
    〒186-0012 東京都国立市西2-11-32-B1