国内外の映像アート作品の上映、レクチャーを定期開催。古典的名作 から、最新の実験映画まで

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No.1010 ガタゴトフィルムの到着
野村建太映像個展
2018 12/9 Sun.

      タイムテーブル

    日付 12/9
    14:00 上映
    15:30 レクチャー
    17:00 上映

      会場

    • イメージフォーラム3F「寺山修司」
      東京都渋谷区渋谷2-10-2
      TEL. 03-5766-0116

      当日受付

    • 上映 一般700円/会員500円

    • ※各回入替制
    • ※15:30のレクチャーは無料です
    • ※14:00と17:00の上映内容は同じです
    • ※各回上映後、作家ティーチ・インあり

  • ガタゴトフィルム

    ガタゴトフィルム

  • ガタゴトフィルム2011

    ガタゴトフィルム2011

  • ガタゴトフィルム交換日記

    ガタゴトフィルム交換日記

  • Tick tick tick! Summer time Diary

    "Tick tick tick!" Summer time Diary

  • Night of Tick tick tick!

    Night of "Tick tick tick!"

  • 写真撮影の様子を写した

    写真撮影の様子を写した

  • 快速急行ガタゴトフィルム

    快速急行ガタゴトフィルム

  • 世界からコマが消えたなら

    世界からコマが消えたなら

  • あなたの人生の到着

    あなたの人生の到着


  • ガタゴトフィルムの到着 野村建太映像個展 予告


  • 排除されたノイズへの郷愁、あるいは喪われた身体性の墓標

    2011年の『ガタゴトフィルム』にはじまる野村建太の一連の作品を眺めていると、映画へのほのかな郷愁が感じられる。それは一つには終始「カタコト、カタコト、・・・」と鳴り響くひと昔前の映写機の音のせいだろう。ただ野村の映画はいまやほとんどデジタル化されているのだから、その映写機の音は明らかに意図的に再現されているのである。しかしその中には何本かのサイレント映画も含まれているのだが、不思議なことにそこでも依然として「カタコト、カタコト」という連続音が聞こえてくるような気がする。それは野村がみずからの作品の何本かのタイトルに、あえて「ガタゴトフィルム」という言葉を繰り返し冠しているから、とばかりは言えないようだ。それはおそらく野村の映画に共通する構造の故だろう。

    野村の映画の基本的マテリアルは8ミリフィルムである。その多くは、制作過程で8ミリフィルムからデジタルHDに置き換えられている。しかし中には8ミリを経由せずに始めからデジタルで作られた映画もあるが、その場合はきっとデジタルメディアのなかで8ミリフィルム的な感触が遡及されることだろう。ところで、このわざわざ遡及されるメディアとしての8ミリとはいったい何だろうか。それは8ミリ映画が持つ「イメージ一般には還元され得ない物質性あるいは身体性」である。それはある意味で、8ミリ映画が本質的に抱え込むメディアとしての脆弱性、またそれ故にこぼれ落ちるノイズと言い換えてもいいだろう。たとえばハリウッド映画のような堅固で破綻のない大型映画のイメージに、物質性や身体性の闖入する余地はない。だからこそそのイメージは、あらゆるメディアを自在に移動することができるのだが、かずかずのノイズを抱え込む8ミリ映画にそのような自由はなく、その局所性に固執するほかはない。

    野村のガタゴト映画は、なめらかな移行、スムーズな連続性に対する徹底した反抗である。それは1コマとは言わないまでも、知覚し得る最小限の連続するコマにまでイメージの連続性を断ち切り、その断片を繋いでいく。それは一見すると写真による高速のスライド上映を思わせるが、けっしてそうではなく、むしろ編集機材のビューアーで映画を眺めるときの感触に似ている。断ち切られた映像断片はオーバーラップする別の映像によって繋がれていて、それらは意味上のノイズでありながらも、感覚的な映像の連続性のために貢献しているのである。そしてそれらの映像は、カメラマンの眼差しの対象でありながら、みずからの足を写しこんでしまう主体の身体性と融合しているのである。
    (波多野哲朗/映像研究家)
     


    上映プログラム 9作品65分

    ガタゴトフィルム  8mm→デジタル/6分/2011
    ガタゴトフィルム2011  8mm→デジタル/15分/2012
    ガタゴトフィルム交換日記  8mm→デジタル/5分/2012
    "Tick tick tick!" Summer time Diary  デジタル/2分/2013
    Night of "Tick tick tick!"  デジタル/2分/2013
    写真撮影の様子を写した  8mm→デジタル/2分/2015
    快速急行ガタゴトフィルム  8mm→デジタル/21分/2016
    世界からコマが消えたなら  8mm→デジタル/4分/2017
    あなたの人生の到着  8mm→デジタル/7分/2018


    レクチャー:ガタゴト映画のしくみ(約60分)

    作者曰く「ガタゴト映画はDIYの精神さえあれば誰でも作れる、とても民主的な映画制作の手法」。各作品の撮影や編集を振り返りながら、わかりやすくその方法を説明します。



    野村建太 NOMURA Kenta

    1987年京都府生まれ。2012年、日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了。東京映像旅団メンバー。日記映画とアニメーションをテーマに、創作と研究を行っている。イメージフォーラム・フェスティバル、アテネ国際アニメーション映画祭、ワッタン映画祭(ミャンマー)など上映多数。今回上映する作品の他に、『16日間』(13)、『日記自転車』(14)など、原稿用紙をモチーフにした作品がある。アニメーション映画『この世界の片隅に』(16)では、特殊作画・演出補を務めた。



    作者による解説


    ガタゴトフィルム
    8ミリフィルムのコマ撮りによる最初の作品。コマとコマの間に予想可能な運動が生まれないことを意識しながら撮影した。デジタル化する際に1コマを2フレームに延ばし、音声は映写機の駆動音をスロー再生して列車の走行音を真似た。2010年10月30日から、2011年1月5日までの記録。


    ガタゴトフィルム2011
    2011年1月21日から、12月10日までの記録。前作では撮影時に意識的に運動を排除したが、1年間続けるうちに態度は変化していく。毎日歩く道や、繰り返し訪れる場所が時間の経過を伝える。


    ガタゴトフィルム交換日記
    2012年1月から5月に撮影したフィルムと、作者の祖父が1959年4月から11月に撮影したフィルムとをコマ単位で交錯させた作品。1コマずつ、パーフォレーションまで見える形でテレシネした。高速で入れ替わることで、スーパー8とレギュラー8とのフォーマットの違いが顕在化する。


    "Tick tick tick!" Summer time Diary
    CASIOのコンデジEXILIMのタイムラプス機能を使用して制作。タイムラプスに期待される美麗な固定ショットを止め、カメラを持ち歩くことでコマ撮り日記映画の質感を再現した。2013年8月7日から15日までの夏の記録。


    Night of "Tick tick tick!"
    引き続きEXILIMを使用。キッチンタイマーにカメラを固定して、壮大な星空ではなく日常的な身の回りを撮影した。2013年9月20日から25日までの夜の記録。


    写真撮影の様子を写した
    写真スタジオでプロフィール写真に収まる人々をスケッチ風に撮影した作品。完成した写真の隣に、デジタル・フォトフレームでループ再生して展示した。2014年11月12日・18日に撮影。


    快速急行ガタゴトフィルム
    様々なコマ数で撮影された日常風景と、乗り物から撮影された映像。それぞれの運動を持った二つの映像を1コマ単位で編集することで、新たな運動を生成。2012年から2015年までに撮影した映像を、2015年にタイ旅行したときの列車の映像で挟んだ。


    世界からコマが消えたなら
    映像制作環境がデジタル化して、映画における物理的なコマは消えた。デジタルデータ化した8ミリフィルムのコマをAfter Effects上で縦に並べ、ヴァーチャルなフィルムの帯を作ることで、反語的にコマのなくなった映像制作環境を意識化する試み。2015年12月6日から2016年8月9日までに撮影したフィルムから、任意のコマを選んで配列した。


    あなたの人生の到着
    2017年6月29日12時25分にiPhoneで撮影した動画を、2016年1月から2017年8月までに撮影した8ミリフィルムで再構築することで、ある一瞬に様々な時間が同時に訪れることを表現した。デジタル化したフィルムを重ねてPhotoshopで削り取った、デジタル・シネカリグラフィ作品。


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