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No.1023 百瀬文×イム・フンスン「交換日記」日韓同時上映
Aya Momose & Im Heung Soon “Exchange Diary” Special Screening
2019 9/3 Tue.

      タイムテーブル

    日付 9/3
    19:30

      会場 Venue

    • イメージフォーラム3F「寺山修司」
      東京都渋谷区渋谷2-10-2
      TEL. 03-5766-0116

      Image Forum 3F "Terayama Shuji"
      2-10-2, Shibuya, Shibuya-ku
      TEL. 03-5766-0116

      当日受付 Door

    • 一律1,000円
    • 1program 1,000 yen

    • ※上映後、日韓スカイプ中継による百瀬文とイム・フンスンによるトーク・イベント有り

  • 交換日記

    交換日記


日韓の映像作家が紡ぐ“国境なき対話”

百瀬とイムの『交換日記』は、それぞれの活動拠点である日本と韓国、あるいは日々の生活で訪れた場所の映像を素材として順に相手に送り、受け取った側が相手の映像を編集して、自身の声で「日記」という形式のナレーションを加えることによって完成します。その素材は、もともと作品のために撮られたというものでもなく、私たちが普段何気なくスマートフォンを対象に向けるように、ふたりの他愛のない日々の記録として撮影されたものです。
相手から送られてきた映像を眺めてみても、受け取った側の作家はその背景にあるコンテクストを完全に当事者として理解することはできません。相手の視点で切り取られた風景に自らの物語をかぶせることで生まれるズレと重なりは、個人間のコミュニケーションが文化的、社会的、政治的な隔たりや親密性へと展開していくさまを、時におぼろげに、時に鋭く描き出していきます。
ふたりは2015年に日韓国交正常化50周年を記念して開催された「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、韓国国立現代美術館)での出会いをきっかけに、この実験的なコラボレーションを開始しました。
お互いの言語さえわからないふたりのぎこちない対話は、異なる存在としての他者を安易な共感や拒絶であしらうのではなく、わかりあえないままに受けとめ、それでも相手に語りかけることの意味を静かに再考させます。
それは彼らふたりのプライベートな日記でありながら、今も揺れ動き続けているふたつの国の関係性のアーカイブでもあるのです。


 

ソウル・アート・シネマとの日韓同時上映

国家対国家の軋轢が深刻化している現状において、私たちは個人対個人としてどのような言葉を紡ぎ出すことができるのでしょうか。百瀬とイムが出会った日韓国交正常化50周年の2015年から数年、私たちはどのような風景を眺めてきたのでしょうか。
このたびはソウル・アート・シネマとの共同企画の一環として、日韓ふたつの映画館の同時上映および、スカイプでのトークイベントを同時開催します。映像を通して、この瞬間を、このイメージを、まさに日本と韓国で分かち合うこと。私たちはそのような態度を示すことに重要な意味を感じています。
ふたりの日記は今、私たちにどのような問いを投げかけるのか、どうぞご期待ください。


 

作家プロフィール

百瀬文
1988年東京生まれ、東京在住。2013年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻絵画コース修了。パフォーマンスを記録するための方法として映像を用いはじめる。映像自体によって映像メディアの構造を再考させる自己言及的な方法論を用い、見るという行為の特権性をあらわにするような制作を行う。近年の主な個展に「サンプルボイス」(横浜美術館アートギャラリー1、2014年)、「山羊を抱く/貧しき文法」(switch point、2016年)、「Borrowing the Other Eye」(ESPACE DIAPHANES、2018年)、主なグループ展に「戦争画STUDIES」(東京都美術館ギャラリーB、2015年)、「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、韓国国立現代美術館、2015-16年)、「六本木クロッシング2016展: 僕の身体、あなたの声」(森美術館、2016年)など。エッセイの発表も行っており、主な作品に「不透明な泉」(すばる2016年11月号)などがある。アジアン・カルチュラル・カウンシル (ACC)の助成を受け、2017年ニューヨークに滞在。

イム・フンスン
1969年ソウル生まれ、ソウル在住。2001年、園大学大学院美術学部絵画科修士課程修了。実父の葬儀を撮影したことで、映像作品をつくりはじめる。写真、映像、インスタレーションなどを美術館で発表する他、ある地域の人々と共同で作品をつくるプロジェクト型の試みもおこなう。パートナーの祖母の個人史から、済州島の4.3事件を見つめた初の長編映像作品《ピニョム》(2012年)は、映画館でも上映された。近年の主な個展に「還生」(MoMA PS1、2015年)、「私たちを隔てるもの」(韓国国立現代美術館、2018年)、主な国際展、グループ展に「シャルジャ・ビエンナーレ12」(2015年)、「第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ」(2015年)、「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、韓国国立現代美術館、2015-16年)など。女性の労働問題を扱った映像作品《危路工団》(2014年)でヴェネツィア・ビエンナーレ銀獅子賞を受賞。現在、北朝鮮から韓国へ移った女性を主人公とする長編作品《旅行》(2016年)が韓国で劇場公開中。


上映作品 1作品 64分

交換日記  百瀬文×イム・フンスン/デジタル/64分/2018(日本、韓国)
上映後、スカイプ中継によるトークを予定