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No.1047 NEW WORLD ニューワールド
岩崎孝正作品集
2022 4/24 Sun.,5/8 Sun.,

      タイムテーブル

    日付 4/24 5/8
    時間 14:00 14:00

      会場 Venue

    • イメージフォーラム3F「寺山修司」
      東京都渋谷区渋谷2-10-2
      TEL. 03-5766-0116

      Image Forum 3F "Terayama Shuji"
      2-10-2, Shibuya, Shibuya-ku
      TEL. 03-5766-0116

      当日受付 Door

    • 一般700円/会員500円

  • 自然と兆候/4つの詩から

    自然と兆候/4つの詩から

  • Memories - 追憶の光景 -

    Memories - 追憶の光景 -

  • カツテノミライ

    カツテノミライ

  • Simulacrum

    Simulacrum




イントロダクション

本プログラムは、「ふるさとに旅する」と題して2011年から製作された『自然と兆候/4つの詩から』、『Memories』、『カツテノミライ』のフクシマ三部作によるオムニバス映画と短編作品『simulacrum』によって構成されています。

本作監督である映画作家 岩崎孝正は、福島県相馬市に生まれ育ち、東京に暮らしていました。そして、2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれにより引き起こされた原発事故により、その故郷は、変わり果て、世界中から「フクシマ」と呼ばれる重い十字架を背負う土地となりました。「原子力は明るい未来のエネルギー」として、無思考にそのエコシステムに生き、エネルギーを享受してきた私達は、あの時、目の前に見たそのバベルの塔が吹き飛んだ姿を、今、どの様に捉え扱っているでしょうか。作家としての俯瞰的視線と同時に、故郷を喪失した当事者としての視線を持つ岩崎は、この取り返しのつかない現実を前に、この光景と空気感を作品として記録し残す事としました。

震災発生から10年という時間を経て、人々はあの時の断絶された社会生活から、過去と未来が一線の継続的な社会生活へと戻っている様に見えます。しかしながら、人々が思考的にそれを遮断しても、道路や建物を直し人を戻して表面上を取り繕っても、原発事故により発生した私達人間の時間よりも圧倒的に緩やかな自然の時間軸に基づく「フクシマ」というパラレルワールドは、依然として独自の進行を続け、その回帰のスピードは何ら変わりません。

本プログラムは、この異なる時間軸が共存するこの「世界」を私達の時間で言う“Decade(10年間)”という単位で区切り、その断片としてアーカイブする事を目的として制作されました。

 

上映作品

オムニバス映画 ふるさとに旅するより
自然と兆候/4つの詩から  デジタル/50分/2015
Memories - 追憶の光景 -   デジタル/6分/2018
カツテノミライ  デジタル/45分/2019
短編映画
Simulacrum  デジタル/3分/2020

※4/24(土)は上映終了後にトークショーあり
<ゲスト:上野エ志(映画評論家)>

作品解説

自然と兆候/4つの詩から
出演:ニコラウス・ゲイハルター、露口啓二、チョン・ジュハ、きくちゆき、徐京植、河津聖恵

一人の映画監督、二人の写真家を撮影したドキュメンタリー映画。
ウィーンを拠点に活躍するドキュメンタリー映画監督ニコラウス・ゲイハルターは作品「人類遺産(HOMOSAPIENS)」、北海道を拠点に風景と歴史に着目した作品を製作する写真家 露口啓二は作品「自然史」の舞台として、彼らは福島に立つ。そして韓国の写真家 チョン・ジュハは、2011年11月から2012年3月に製作した「奪われた野にも春は来るか」の次のテーマをもとめ、相双地域の代表的な祭祀、相馬野馬追を撮影していく。


Memories - 追憶の光景 -
出演:男 / 岩崎孝正 女 / きくちゆき

「女」を津波によって失い記憶障害に悩む「男」が、失った記憶を引き受けようと決意する物語。「男」は震災によって失った記憶と、これからどう向き合うのか。「喪失と、記憶を、どう引き受けるのか」がテーマ。
震災後、かつて暮らしていた土地である福島 / 東京の風景を撮影していた。そして、それらの風景映像のみで、震災を語るというアプローチを試みようと「Spectacle of Fukushima」という短編を制作した。しかし、それは上手く行かなかった。そのもの足りなさの原因を探り、登場人物を付ける事としたのが本作だ。新たに脚本を書き、きくちゆきさんに演技(音声)をしてもらった。


カツテノミライ
出演:金子満博、天野浩・茂、小田隆、神田豊広、清水加奈、高倉鼓子・草児、丸田清隆・富士子、河上めぐみ、菊池将兵

津波と原発事故の被害で、故郷からかつての面影を奪われた「ぼく」は、かつて公害が発生した場所に旅に出かけた。故郷・地域の未来をそこに見つけたいと願った。
「水俣病」の熊本県水俣市、「四日市喘息」の三重県四日市市、「イタイイタイ病」の富山県富山市、「新潟水俣病」の新潟県阿賀野市。各地でたどり着いたのは、農家さんや漁師さんが仕事をする現場だった。
10代後半から漠然と、公害が引き起こされた土地に行ってみたいと思っていた。本格的に映像を撮るようになった震災後に、福島の原発事故が公害であるという論文を見つけ、ようやくその接点を見つけた。
本作により、それぞれに土地の人と風景を見るたびに、「ここで生きていく人のために、なにかできないか」と思う様になった。そして、映像で人と人、そして風景がつながっていくことに喜びを見い出す事が出来るようになった。
旅を終えフクシマに戻った「ぼく」は、まだ答えを出せず、更なる旅を続ける。


Simulacrum
出演:秋葉七海、入江崇史、中西勝、加村日菜

震災の津波によって父を失った理子奈が、元戦場写真家に写真を教わり、家族を写すことにより幸せを掴む物語。
東日本の震災の子どもたちは、もう大人になっている年齢だ。彼らの様に傷を受け喪失感を抱えた子どもたちはこれから、どのようにそれぞれの幸せを掴んでいくのか。それを描きたかった。


岩崎孝正

1985年福島県生まれ。
東日本大震災をきっかけに本格的に映像制作を始める。東北芸術工科大学大学院デザイン工学専攻映像領域卒業後、映画・映像制作や「ふるさとに旅する」を企画上映するなどの活動を行なっている。
「ふるさとに旅する」の3作品は、世界8カ国の国際映画祭において、10アワード、17セレクションを獲得した。