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発光メディアの持つ霊力(澤隆志) 映画の最中、極端な長廻しのショットで、それが映画のタイトルバックにあるような赤や青等の強烈な原色の光だったりすると、今みているのが動画というより前前世紀の幻灯(マジック・ランタン)であるかのような錯覚にかられる。同様に錯覚を自覚(?)するのは一時期社会現象にもなったフリッカーの映像である。白と黒、または反対補色が目まぐるしく交代する映像は猛烈な刺激を観客に与える。動画としての映画の楽しみとは異なる、これらキラキラした光束の劇としての映像作品を今回は3つのプログラムで紹介する。テーマは光学的マニエリスム。 映画やビデオといった光学メディアはなにより発光するメディアである。同時に往々にしてそれは暗闇の中にあるものだ。それから記録メディアであるゆえ何度でも正確なタイム・コントロールでの再現が可能なことも大事な要素。レンズを通して光を入出力する装置が持っているマテリアル特性を最も効果的に作品化しているのは実験映像の作家たちである。そして飽くなき追求の結果、マニエリスム美術が発するような奇妙な迫力をみせている。時にはその精密さ、実直さが度を過ぎてユーモラスに映る事もある。 プログラムAは色彩の旅。ティントカラーの3画面コンポジション作品『青少年のための映画入門』から、3色旗の美しい固定ショット(『フランス映画』)、2色の往復(『間男』)1画面で色彩の目まぐるしく交代する映像に移行する。(『YELLOW』から『TELEVISION BY VIDEO BY TELEVISION』まで)。画面内の点のダンス『モーション・ルミネ』を経て、フィルムマテリアルのカラフルな楽しい解剖実験2作品(『サンドイッチ』『サンクタス』)に至る。 プログラムBでは作家が捉えた風景や建築物に多様な光学的変形が加わって、電灯や太陽光の反射からなる私たちの日常生活の視覚からはかけ離れた光景が生まれる。するとたちまち運動や質感、構図などが物語の主役に立ち上がる。印刷の網点(『人工の楽園』)やジェルメディウム(『産業とダッチワイフ』) による物質的アプローチや、バルブなどの特殊撮影(『THUNDER』『イコノクラスムNo.1』『太陽風』)、デジタルエフェクト(『RIDE THE LIGHT』『CHROMATIC CLIFF』)に方法は大別される。 プログラムCはBほど過激ではないが非常に印象に残る2つのサイレント作品のカップル。それぞれの作品評を引用する。 「この作品『発生蝕』は、一種の光による詩であり、また光によって照らし出せるイメージと出せないものの目録の様であると言っていいだろう。文字通りの"蝕"として、カメラの動きによって街の灯が太陽を覆い隠す。」(フレッド・キャンパー) 「この作品『ジェロームの時間』は、スタイルとしては一種の日記映画であるが、単に被写体を再現的に映し出すたぐいの日記ではない。つまり日記を身辺雑記風に描くのではなく、日々のうつろいをフィルムにおける創造とかかわらせているのである。作者はあらゆる被写体をカメラで撮るばかりではなく、カメラで創ろうとしているのだ。ド−スキィの作品には、幸運と一体になった輝きが随所に見受けられる。」(かわなかのぶひろ) |
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人工の楽園
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受付(各回入替制) 当日900円/会員600円 3回券2000円 <上映作品> |
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