国内外の映像アート作品の上映、レクチャーを定期開催。古典的名作 から、最新の実験映画まで

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前旅する詩人-カウンター・カルチャーの中で
60年代半ば以来、彼(ブルース・ベイリー)はひんぱんに旅を続けるが、自分のフォルクスワーゲン・バスでの生活から外に出て、モーニング・スターのカリフォルニア・コミューンのテントとか、フォード・ブラッグの海のそばのキャビンでも暮らした。1967年以降の重い肝炎との長い闘病は、彼の活動を制約し、彼の最も長い作品『クイック・ビリー』(1970)で死について瞑想させることになった。<意識>と<自然>をめぐる問題が、ブラッケイジの映画と同様にベイリーの映画にとって決定的である。しかし、とりわけ60年代後半の多産なベイリーの作品の流れの中では、ダイアローグの重要さが作品の外に置かれたような感じがするので、問題提起的でもある。それらの作品では、映画作家の眼が、調和的な映像で彼の心を和らげている。映画的思考の弁証法が、調和の特権的瞬間の撮影において、穏やかに静まっていくのである。
(P・アダムス・シトニー「ヴィジョナリー・フィルム」より)

弥撒(ミサ)- ダコタ・スー族のために●映画は短い導入部から始まる。”私はもう生きていけない。母よ、あなたも悲しむことだろう。”シッティング・ブル、たくましきスー族の酋長。路上で死んでいる孤独な人物への喝采。聖火。カメラの中で作り上げられた、露出過剰の長いセクション。キリエ(主に憐れみを乞う祈りの歌)。カリフォルニアのヴィナのトラピスト修道院で録音されたグレゴリオ聖歌を伴ってサンフランシスコの橋を渡っていくオートバイ。いくつかのセクションに聖書の使徒書簡(The Epistle)が入る。この作品の中心部で映画は次第に常軌を逸していき、テレビや映画のスクリーンから直接撮影された画面となる。その間、”ミサ”の音楽が高くなったり低くなったりする。グロリア(栄光の賛歌)。サイレンの音とベイ・ブリッジを進みトンネルの中に消える33年型キャデラックの短いシーン。最後のセクション”聖餐”は第2の聖歌への光と形の行列の中で奉献歌とともに始まる。導入部の未明の人物が再び現われ、路上の上で死んでいる。その体は神聖なものとなり、最後の聖歌に伴われて、無関心な孤独な人々のなかを運び去られる。伝統的なミサとは生の賛美である。ここにミサの形式と死のテーマの間の矛盾がある。この映画は、ミサを発展させた文明が消し去った宗教的な人々に捧げられる。
(第4回実験映画 カタログより)

ブルース・コナー
『A MOVIE 』や『宇宙光線』は、アンダーグラウンド映画のなかでもっとも人気のある作品である。こうした人気の原因は機知に富んだ画面配列、壮大なスケールの破壊、「ブルー・フィルム」の使用などにあるが、しかもこれらがたくみにこなされながら皮肉な効果を生みだしている。コナーの映画が、批評家にも変態趣味にも共通して喜ばれるのはこのためである。コナーは、カンサス州のウィチタに育ち、ネブラスカ大学で造形美術の学位を取った。『A MOVIE』(1958)が作られたのは、彼がサンフランシスコに住むようになってからである。これは、もともと彼の箱型彫刻の一部として使われるエンドレス映画として計画された物で、災害や異様な風景のドキュメンタリー・フィルムを失敬してきては作ったという代物である。それは「一種の恐ろしく慎重な気品」によって貫かれた厳格なユーモアであるといえよう。
(シェルドン・レナン「アンダーグラウンド映画」より)

アメリカは待っている●デビッド・バーンとブライアン・イーノの曲を使った作品で、題名もトーキング・ヘッズのアルバムからそっくりいただいている。よく知られているように、コナーの映画はどれも寄生のフィルムだけで作られているというのが特徴だ。制作に費やすエネルギーの第1段階は、市販のフィルム、TV局やCM会社に保存されているフィルム、軍が保存しているフィルム、教育映画、くず同然のフィルムを収集することである。第2段階では、その膨大なフィルムから、厳密に使用する部分を選択し、音とシンクロさせながら丹念に編集する作業である。処女作の『A MOVIE』(1958)を手がけて以来15年間、一貫してこうした制作方法をとってきた。まずは撮影することから始まるという映画作りの定石を、大きく逸脱しているのだ。これはおそらく作者が美術家出身であること、そしてとりわけジャセフ・コーネルのアッサンブラージュによるオブジェに多大な影響を受けたことになど、既成の映画作者の体質とは異なった視点から映画作りに着手したからだろう。それにしても、この作家は随分大胆な映画作りをしたものである。ハリー・スミスやフランク・モリスのように一つ一つの画面上にコレージュで画を構成する作者は数多くいるけれど、フィルムそれ自体をコラージュしてしまうとは。
(中島崇「ブルース・コナーの新作」月刊イメージフォーラム1983年11月号より)

ブルース・ベイリー
ブルース・コナー
受付
当日900円/会員600円

<上映作品>
ブルース・ベイリー作品
弥撒(ミサ)- ダコタ・スー族のために
16ミリ/24分/1963-64
オール・マイ・ライフ 16ミリ/3分/1966
タング 16ミリ/5分/1966
カストロ・ストリート 16ミリ/10分/1966

ブルース・コナー作品
A MOVIE 16ミリ/12分/1958
5時10分発ドリームランド行き 16ミリ/5分10秒/1976
悲しいワルツ 16ミリ/5分/1977
モンゴロイド 16ミリ/4分/1978
アメリカは待っている 16ミリ/5分/1981


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