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2005/7/3,10

「デュシャンは語る」
------あなたはルネ・クレールの『幕間』に、マン・レイ、ピカビア、サティらと一緒に出演なさっています。それからロルフ・ド・マレのバレエにも。これは折衷主義の・・・(インタビュー/ピエール・カバンヌ)
 そう言ってもいいですよ。『幕間』というのは、そのタイトルが示しているとおり、あるスウェーデンのバレエの幕間に映写されるものでした。私が出たのは、ピカビアとサティの『休演』の場面です。上映は一回しかなされませんでした。私は付髭と葡萄の葉で、裸のアダムに扮しました。イヴをやったのはブローニャというロシアの若い女性で、彼女もやはり全裸でした。ルネ・クレールは上の方の屋根組にいて、私たちに照明をあてていました。そしてそこから彼女に恋をしてしまったのです。彼らは数ヶ月後に結婚しました。私はマッチメーカー、ほらあの結婚の仲人役をつとめたのです!『幕間』にはシャンゼリゼの屋根の上で、私がマン・レイとチェスを指す場面があります。そこにピカビアが水まきホースを持ってやってきて、すべてを洗い流してしまうのです。ひじょうにダダ的でした。そうでしょう。

------あなたは映画や演劇に、何を求めていらっしゃったのですか?
 映画はその光学的な面がとくに私はおもしろかった。私がニューヨークでつくったような回転する機械を組立てるかわりに、私は考えたのです、なぜフィルムを回さないのか、と。そのほうがずっと単純でしょう。でも映画そのものをつくるほどには、私はそのことに興味を持ちませんでした。それは私が得た光学的な効果に到達する、より実際的な方法だったのです。「あなたは映画を作ったじゃないか」と言う人には、私はこう答えます、「いや、私は映画は作らない、あれは私が望んでいたものへ達するための--とくに今ではそれがよくわかりますが--便利な手段だったのだ」と。
 それに、あの映画は奇妙なものです。今のようによくできた機械もなかったので、1ミリ1ミリ仕事を進めていきました。ミリメートルの目盛が付いた小さな円盤があって、1コマ1コマ回していったのです。そんなことを2週間もしました。装置の速度調節ができなくて狂ってしまい、かなり速く回ってしまったので、光学的な効果がおかしなものになってしまいました。それで機械仕掛けを放棄し、すべてを自分たちでやるはめになったのです。いわば手への回帰ですね。
(岩佐鉄男、小林康夫訳/ちくま学芸文庫)

バレエ・メカニック
アネミック・シネマ
受付(各回入替)
当日900円/会員600円/3回券2000円

上映作品
●プログラムA
月世界旅行 ジョルジュ・メリエス/10分/1902
ジュピターズ・サンダーボルト
ジョルジュ・メリエス/3分/1903
マジック・ランタン ジョルジュ・メリエス/3分/1903
人魚 ジョルジュ・メリエス/3分/1904
狂熱 ルイ・デリュック/30分/1921
微笑むブーデ夫人
ジュルメーヌ・デュラック/26分/1923
幕間 ルネ・クレール/14分/1924

●プログラムB
バレエ・メカニック フェルナン・レジェ/11分/1924
メニル・モンタン ディミトリ・キルサノフ/25分/1925
時のほか何物もなし
アルベルト・カヴァルカンティ/30分/1926
アネミック・シネマ マルセル・デュシャン/8分/1926

●プログラムC
エマク・バキア マン・レイ/18分/1927
ひとで マン・レイ/15分/1928
サイコロ城の秘密 マン・レイ/22分/1929
アンダルシアの犬
ルイス・ブニュエル、サルバトール・ダリ/15分/1928

すべて16ミリ版での上映になります。
作品提供:プラネット映画資料図書館