イントロダクション
テクノロジーの進化により、誰もが気軽に映像作品を創ることができるようになりました。
そんな中、短編フェイクドキュメンタリーに特化したこの映画祭はフェイクドキュメンタリーの未知なる可能性を目的として2020年に生まれました。
第3回の開催となるとなる今回は、8本の短編作品を上映。
"フェイクドキュメンタリー"といっても作風はコメディから実験映像まで様々。
リアルとフェイクの境を愉しむ3時間!
※各監督によるトークショーあり。
作品紹介
7/17 江川知弘 / 11分/ 2020
夜9時に彼女と会う約束をしていた監督だったが、トラブルが発生して足止めを食らう。
このままだと彼女と夜を過ごせない!
異様な精神状態に陥った監督は、目の前の出来事を自ら撮影し始める。
青春フェイクドキュメンタリーの白眉がここにあり。
江川知弘:1996年、熊本県八代市生まれ。ストーリーライター。デビュー作の児童文学『お母さんの煮しめ』で第7回絵本出版賞〈ストーリー部門〉受賞。心の師匠は、映画評論家の町山智浩氏となすお館長氏。
しどろもどろ 西崎羽美 / 14分/ 2022
"魅力的な主人公を撮る"ことを目指し、監督は友人にカメラを向けて記録映画を作り始めるが、友人は突然、姿を消してしまう。
監督は友人と繋がりのあった人を訪ね、その人物像を探ろうと試みる。
フェイクドキュメンタリーが問う、普遍的な主人公論。
西崎羽美:2001年静岡県生まれ。都内の大学に通う傍ら、映画美学校で映画を学ぶ。映画表現について模索中。
OUT of TOKYO202x 幾世明訓 / 14分/ 2022
TOKYO2020の開幕日に国立競技場付近にやってきた2人の未来人の物語。
延期の末に訪れた"特別な1日"に、2人は何を感じるのか?
撮影日は実際のTOKYO2020の開催当日。事実とフィクションが折り重なる、永久保存版の一本。
幾世明訓:ビデオ・ジョッキーをきっかけに、映像と音を同期させたパフォーマンスで「earb」として活動を開始。『Out of TOKYO 202x』は、大阪アジアン国際映画祭でノミネート。
あっけない 福井秀策 / 13分/ 2021
基礎疾患を抱え、仕事も多忙な単身男性・柳川。体調を崩して入院するも、コロナの影響で友人との面会は許されない。
友人の一人・福井は、柳川とのリモートでの会話を記録しつつ、励ましの言葉を送るも……。
"コロナ映画"の到達点。
福井秀策:1983年鳥取県生まれ。映画メイキングから映像制作のキャリアをスタートさせ、ドキュメンタリー、劇映画作品、企業映像、MVなど演出作品多数。自分に合った映画制作のやり方、表現方法・作風を日々探求しており、型に囚われない映画の制作を目指している。
(vlog)入国四日目・2022年8月24日 若海佑樹 / 16分/ 2022
時はコロナ禍。台湾入国直後の隔離生活を送る作者が、ホテルでの自身の姿を記録したセルフドキュメント。
作者はなぜ、日本を離れ台湾にやってきたのか?
無言のまま食事をし、本を読み、パソコンの画面を眺める作者の姿が、観る側の心をかき立てる。
若海佑樹:千葉県出身。元々は写真を独学していたがクリス・マルケル『サン・ソレイユ』を観て映画製作を目指すことに。スナップ写真を撮るように即興的要素に頼ることが多く、本作は隔離期間での日常の記録をベースにワンカット撮ってから次のカットを考えるという手法で制作。他力本願が制作の軸。
Own Story 宮森みどり / 5分/ 2019
4人の若者がカメラの前で恋愛経験を語る。
間違いなく誰かは嘘をついているが、鑑賞者は彼らの外見や口調からしか、内容の真偽を推測することができない。
フェイクと事実の混在が、観る側の無意識的偏見を誘発する新時代の実験映像。
宮森みどり:1997年東京生まれ。自分ではない誰か(何か)になるためのパフォーマンスを行うアーティスト。普段しないことや言わないことをパフォーマーが行為することで、身体を介して他者に出会い、身体が変化していくことに関心を持ち、その過程を作品としている。インタビューの記録映像を役者が真似し続けるパフォーマンスシリーズ《Paraphrase》などを発表。
炎の秘祭〜長野県・在那祭〜 宮島岳人 / 23分/ 2022
長野県で500年続く祭・"在那祭"。
長男を持つ男性が祭に参加すると、我が子が神のご加護を得られるという。
しかし、この祭は危険を極め、過去には死者が出たことも。
取材班は祭に参加する男性と家族に密着。次第に祭の秘密に迫っていく。
宮島岳人:長野県生まれ。コロナ禍のステイホームで心霊ドキュメンタリーに出会い、自身でも制作を始める。心霊ドキュメンタリーというジャンルの可能性を広げることを目指し、多様なテーマのコンペにホラー作品を応募している。2022年「第1回 山の洲ビジュアルアワード」にて審査員特別賞を受賞。
赤塚溜池公園川鵜撲殺事件 佐藤健人 / 8分/ 2012
「殺していいのかよ! 生きてるものを!」
日曜の公園で、老人が鳥を撲殺したところ、市民同士の口論勃発。しまいには警察も駆けつける事態に。
カオスだらけのエンターテイメント。これは虚構か!? 現実か!? そんなことはどうでもよい!
佐藤健人:2006年、日本大学藝術学部映画学科監督コース卒業。『もここ』(2007)、『簡単に卒乳させる100の方法』(2011)、『4月/April』(2011)、『5月/May』(2011)など、映像日記的な手法の作品を多数制作。また、役者として小口容子監督の『愛のイバラ』(2013)と『泥酔に死す』(2021)に出演している。